犬を迎える前の準備

犬を家族に迎えるということは、命を預かるという大きな責任を持つことです。犬は私たちに無償の愛情を注いでくれますが、その代わりに私たちも環境・健康・しつけ・生活すべての面でサポートしてあげなければいけません。

ここでは、初めて犬を迎える方のために、準備すべきことを9つのステップに分けて解説します。


1. 犬の居場所を整える

犬にとって、自分専用の落ち着けるスペースは、安心して新しい環境に慣れるうえでとても重要です。まず整えたいのは、安全で快適な居住エリア心身を休められる寝床です。

犬は本能的に、体を丸めて周囲を囲まれるような空間に安心を感じます。そこで、縁が高く、やわらかく体を包み込んでくれるようなベッドを用意してあげましょう。

このようなベッドは以下のような効果があります:

  • 落ち着いて眠れるため、無駄吠えや不安行動の軽減に繋がる

  • 体をやさしく支え、関節や筋肉への負担が少ない

  • クレートやサークル内にフィットするデザインで、空間全体を安心のテリトリーに

特に子犬や初めて家に来た犬は、環境に慣れるまで緊張しがちです。そういった時期に、柔らかく包み込むような寝床を用意することで、心を落ち着け、より早く家族との信頼関係を築く助けになります。


2. フードと食器を用意する

犬の健康を保つうえで、食事は非常に重要です。年齢(月齢)や犬種、体重に合わせた適切なドッグフードを選びましょう。ブリーダーや保護施設から譲渡された場合は、それまで食べていたフードを教えてもらい、急に変えずに少しずつ切り替えることをおすすめします。

食器は倒れにくく、洗いやすい陶器やステンレス製がおすすめです。プラスチックはカビやすく、アレルギーの原因になることもあります。


3. トイレトレーニングの準備

犬のトイレトレーニングには、ペットシーツとトイレトレーが必要です。最初は失敗しても当たり前です。決して叱らず、「できたらしっかり褒める」ことを繰り返すことで、犬はどこで排泄すべきかを学んでいきます。

消臭スプレーや専用のクリーナーで清潔な状態を保つことも、成功率を上げるコツです。


4. 衛生とお手入れ用品

犬の健康維持のために、ブラッシング、爪切り、耳掃除、歯磨きなどのケアが欠かせません。犬種によって毛の長さや皮膚の状態が異なるため、それに合ったお手入れ用品を選びましょう。

特に歯のケアは見落とされがちですが、犬も歯周病にかかるため、子犬の頃から慣れさせておくことが重要です。


5. おもちゃで心を満たす

犬には遊びを通じてストレスを発散し、脳を刺激する必要があります。特に子犬は噛む欲求が強いため、丈夫なおもちゃや知育トイを使うと効果的です。

家具を噛んでしまうなどの問題行動も、おもちゃを使った遊びで防ぐことができます。


6. 健康管理の準備

犬を迎えたらすぐに動物病院で健康チェックと予防接種を受けましょう。犬には狂犬病ワクチンや混合ワクチン、フィラリア予防、ノミダニ対策が必要です。

また、万が一の病気やケガに備えて、ペット保険への加入もおすすめです。月々1,000〜3,000円程度で加入でき、手術や入院時に大きな助けになります。


7. お散歩の準備

犬は毎日の散歩で運動不足を解消し、社会性を育みます。首輪またはハーネスとリードを用意し、犬に合ったサイズを選んでください。散歩中の排泄物はうんち袋で持ち帰るのがマナーです。

散歩は単なる運動ではなく、飼い主との信頼関係を深める大切な時間になります。


8. 登録と法的義務

日本では犬の飼い主に対し、畜犬登録と狂犬病予防注射が法律で義務づけられています。保健所や市区町村に届け出をし、「鑑札」と「注射済票」を首輪につけておくことが必要です。

また、災害時の迷子対策として、マイクロチップの装着と登録もおすすめです。


9. 飼い主の心構え

最後に最も大切なのは、**「一生付き合う覚悟」**です。犬は10〜15年生きます。毎日のごはん、散歩、しつけ、病気や老化にも寄り添う覚悟が必要です。

また、犬は人間と同じように感情を持ち、孤独やストレスに弱い動物です。たっぷりの愛情と時間を注ぎ、家族として大切にしてあげてください。


📝 まとめ

犬を迎えることは、ただペットを飼うということではなく、「大切な家族を迎える」ことです。

ごはんやお散歩、遊びやしつけなど、毎日のお世話が必要になりますが、犬はその分たくさんの愛情と笑顔を返してくれます。

最初はうまくいかないこともあるかもしれません。でも、あせらず、やさしく見守ってあげれば大丈夫。犬はあなたのことを信じて、少しずつ心を開いてくれます。

物の準備ももちろん大切ですが、いちばん大切なのは「この子としあわせに暮らしたい」という気持ちです。
その思いがあれば、きっと素敵な毎日が始まります。